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政府貨幣発行論について
2011-06-01-Wed  CATEGORY: 未分類
前回、丹羽氏の「政府貨幣発行論」に触れた。『正論』6月号で前回引用した部分に続いて丹羽氏はこう言う。


≪丹羽 だからこそ、政府の貨幣発行特権をうまく使って財源にするべきなんです。
 渡辺 丹羽さんのお考えでは、その特権を日銀に売却するわけですよね。
 丹羽 そうです。いま普通に使われている「お札」、つまり「日銀券」の発行額は、日銀の会計では「負債」として計上される定めになっていますので、発行益(専門用語では「造幣益」)は生じない。しかし、まるで手品のようですが、現行法の規定では、政府の貨幣発行特権はどれだけ発動しても政府の負債にはなりません。担保も不要、利息の支私いも不要、返済も不要で無制限に出していいことになっている。政府財政にとっては、まさに「打ち出の小槌」です。そこで何百兆円分かの限定された発行の権利を、政府が日本銀行法似規定(第四条、第四三条、第三八条)に準拠して日本銀行に売却し、日本銀行はその代金を政府の口座に電子信号で振り込む。これで、国(政府)は、きわめて潤沢な財政財源を得ることができる。これで「所得倍増計画」ぐらい、すぐできる。それでいいんです。政府紙幣の発行など不要ですし、日銀券の大量増刷といったことも不要です。≫


これが無理筋なのだということに丹羽氏は気付かない。日銀券の発行は日銀の負債だが、政府貨幣の発行は政府にとっての負債ではないから、政府貨幣の発行権を日銀に売却してそれに見合う日銀券を発行させる。これぞまさに『打ち出の小槌』だと氏は言う。

だが、この論は下手な手品だ。政府貨幣が政府にとっての負債ではないからと言って、その発行権の売却を受けて代価として政府に日銀が発行する(日銀の政府口座に振り込まれる)日銀券が日銀にとっての負債である点に何らの変わりはない。政府に支払われた日銀券は財政支出を通じてやがて日銀当座預金の各金融機関口座に振り込まれるからだ。日銀にとって日銀券の発行は負債の発行だからそれに見合う資産が必要である。政府貨幣の発行権は政府にとっての資産だとしても、日銀にとっての資産とは言えない。

日銀が日銀券の発行を負債として管理しているのは通貨の量を管理するのが日銀の義務だからだ。そのために日銀は日銀券の発行に当たっては公開市場で国債などの優良債券を買い入れその代金を支払う(つまり日銀の各金融機関の当座預金口座に振り込む)ことによってそれを行う。日銀券を減らす必要が出たときには、その優良資産を売却することによって行う(売りオペ、買いオペ)。丹羽論によれば日銀は見合いの資産がないままに日銀券を発行することになる。後からこれが効くのだ。

いずれ、「巨額のデフレギャップ」が解消し始めるとインフレと闘わなければならなくなる。このとき日銀はその武器(優良資産)を持たないことになる。そして最後には、政府が国債を発行して過剰になった日銀券を回収しなければならないことになる。

因果は巡る…。金融政策に奇手はない。ましてや「打ち出の小槌」などあるはずがないのだ。
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