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主に経済に関する積極財政派の覚書。
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自然人と法人
2011-05-29-Sun  CATEGORY: 未分類
自然人と法人
≪・・・国の債務残高は、財務省の試算では、今年度末に1002兆円と、初めて1000兆円を超える見通しです。さらに東日本大震災からの本格的な復興に向けて編成される今年度の第2次補正予算では、多額の国債の発行が見込まれており、復興を果たしつつ財政再建をいかに進めるかが一層重い課題となっています。(NHK 5月11日)≫

このニュースはNHKとブルームバーグが報じただけという。実は私はタクシーを運転しながらラジオで聴いた。「またか」と思っただけだが、「10秒で読む日経!」というメルマガの発行者佐々木さんが、早速日本財政破綻論を展開している。
http://archive.mag2.com/0000102800/20110511121000000.html
≪1つは、今年度の債務増額が80兆円もあること。勘定に入っていない
 震災対策2次予算を入れると、年間百兆円もの借金増になる。
 つまり、税収2年分の借金を新たにしなければいけない。
 国民一人当たり722万円というと、住宅ローンのある人は大した借金
 には見えないかもしれないが、年収が40万円の人が722万円の借金
 を抱えていて、今年は新たに80万円の借金をするわけだから深刻なのだ。
 もう1つは、借金の借り手の95%は日本の家計からだということ。
 5%は外国人投資家なのだが、低金利と低い信頼で海外から借金を増や
 すのは難しい。
 国債等で直接政府に貸すのは金融機関等だが、その資金は預金や保険料
 からであり、最終的には家計のお金だ。
 その家計の金融資産は約1500兆円だと良く知られているが、家計に
 は借金もあるので、約400兆円の借金を差し引いた純資産は1100
 兆円だ。
 国が実質的に借金できる相手は家計の金融資産なのだから、今年度に1千
 兆円の借金残となれば、残りは1年分の百兆円しかない。
 10年ぐらい前に流行った日本破綻が実現しなかったのは、自国の貯蓄
 率が低くて家計金融資産額が多くなかったラテン系、新興国系をそのま
 ま日本に当て嵌めたから。
 日本の貯蓄率が高かったために、家計金融資産が多かったことが、多額
 の国の借金をこれまで持ちこたえさせた。
 実際には今後も日銀に引き受けさせたり等の借金の術はいくつかある。
 しかし、無い袖を振っても、あとでしっぺ返しが来るだけだ。
 今日のニュースは分岐点まであと僅かになったことを示す。≫

今年度末で国が借金できる余裕は100兆円しかないので、このままいくと来年度で使い切ってしまうという計算になる。さ~大変!

さて、佐々木氏は「国が実質的に借金できる相手は家計の金融資産なのだから」と言い「国債等で直接政府に貸すのは金融機関等だが、その資金は預金や保険料からであり、最終的には家計のお金だ。」と言うがこれホントか?

「国内には家計、企業、政府の三種類の経済部門があり、それとは別に外国という経済部門がある。」(ウィキペディア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E5%86%85%E7%B7%8F%E7%94%9F%E7%94%A3GDPに関するウィキペディアの説明。

これが国の経済を語る時の常識。国債を買っているのは銀行を通じて間接的にであれ、直接的にであれ、上記国内三部門そして外国である。個人投資家は家計よりの支出で国債を買っているし、企業部門では銀行はもとより生命保険会社も買っている。一般企業も買っている。国の機関である年金機構、日銀も買っている。

年金機構の保険料は、厚生年金の場合半分は企業が負担している。「最終的には家計のお金だ」というのは真っ赤な嘘だ!

民法を開いてみてほしい。例えば
http://www.ron.gr.jp/law/law/minpo_so.htm第一編「総則」、第一章「通則」。第二章「人」。これは自然人たる人についての規定だ。第一節「権利能力」、「第三条 私権の享有は、出生に始まる」。第二節「行為能力」、人が法律行為を単独で為す能力について規定されている。

そして第三章で「法人」が規定される。「第三十三条 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない」。民法はこの後、権利・義務の主体である「人」「法人」に対する客体である「物」について規定し、更に「法律行為」について規定する。つまり法人とは自然人と境目のあいまいな存在ではなく、一個の法律上の主体なのだということを示している。

では国全体として金融資産はいくらあるのか?日銀が四半期ごとに「資金循環統計」を公表している。佐々木氏の1400兆円もこれによるものだろう。この統計によれば5500兆円ほどになる。三橋氏がわかりやすい図にしてくれている。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/image-10877741600-11198300164.html「もう政府は借金できない」と言うならこの数字を元に議論すべきだろう。

因みに「資金循環統計」が設定する経済主体を見てほしい。「家計」、「政府」、「民間非営利団体」、「金融機関」、「非金融営利法人」。全て自然人または登記された法人だ。

更に、佐々木氏のルール違反。彼は家計の金融資産は1400兆円だが負債が400兆円あるので差し引き1000兆円しか国債購入に回せないと言った。家計の純資産の数字を挙げた。ならば政府の負債も純負債で語らなければならないはずだ。日銀の統計によれば政府は約500兆円の金融資産を持っているので、500兆円が純負債額になる。

そして「政府の借金の本は家計にあり」という俗説は佐々木氏のような人々のみならず拓殖大学学長・渡辺利夫氏の様な積極財政派にも信じられていることを知った。これはショックだった。正論6月号の丹羽春喜氏との対談で同学長はこのように言っている。

≪渡辺 現在、国債はおよそ九五%が家計貯蓄によって消化されていますが、この家計貯蓄によって購入された国債を運用しているのは金融機関です。家計貯蓄がどれくらいあるかというと、昨年では家計負債を引いた値が一〇七七兆円です。他方、政府の負債は九〇八兆円。今は家計貯蓄のほうが政府負債よりも大きい。しかし今年、四四兆円もの国債を発行しましたよね。これを四年続けると一七六兆円になります。政府負債が九〇八兆円ですから、単純にこれを足し合わせると、四年後には一〇八四兆円になります。つまり家計貯蓄よりも政府負債のほうが大きくなってしまう。しかもこの間、家計貯蓄は減少していくに違いありません。そうすると国債を新規発行しても「入札未達」、つまり発行しても市場がこれを消化しきれなくなってしまうという危険性があります。その結果、国債価格が下落、長期金利が上昇して日本経済は一層低迷していかざるをえない。国債発行に頼ることはあと二、三年しかできませんね。
 丹羽 だからこそ、政府の貨幣発行特権をうまく使って財源にするべきなんです。≫(政府貨幣発行特権の発動で防災列島の構築を 正論1106)

では、国債の保有割合はどのようになっているか?

民間銀行    33.92%
生損保     20.23
社会保障基金  10.46
日本銀行     7.99
年金基金     3.88
海外       4.83
家計       4.54
民間非営利団体  1.93
その他      7.22
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/image-10877741600-11198300165.html
「国債はおよそ九五%が家計貯蓄によって消化されていますが」という発言がそもそもおかしい。日本国債の海外保有分は5%弱。従って、国内=日本人が残り95%を持っている。その全てが家計貯蓄によるものだということになる。佐々木氏と同じ立場になってしまうではないか。我が国の金融資産が1400兆円であるとする財政破綻論者と同じ悪質宣伝を行っているわけだ。

佐々木氏は増税せよと言い、丹羽・渡辺両氏は政府貨幣を発行せよと主張するために真実を歪めていることになる。恥ずべきことだ。

尚、図表は三橋氏のブログから借りてきたが、本文を読んでみたら私と同じことを言っている。御一読を。
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/day-20110501.html
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