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真のサービス
2010-04-05-Mon  CATEGORY: 未分類
 最近、道新(北海道新聞)のわが地区市内版は、「規制緩和の果てにうめくタクシー業界」と題する囲み記事を五日間にわたって掲載した。わが地区の各社独自の減車計画の形をとった、たぶん行政が間に入ったであろうと思われる、全社一斉減車に向けたものであろうと思われる。その記事の最終回で担当記者はこう述べている。

 「同一地域同一運賃」の原則を崩した1993年10月以降、段階的に始まったタクシーの規制緩和は、2002年2月の参入自由化で完成した。
 当時、「規制を緩和すれば市場原理によって新規参入があり、多様なサービスが生まれ、需要も喚起され、利用者は安く、よりよいサービスを受けられる」と利点ばかりが強調された。
 確かにタクシー定期券(北九州市など)運転免許証返納割引(埼玉県など)飲酒運転撲滅割引(鹿児島県など)など多様な割引は生まれたが、「新たな需要が生まれた」との声はほとんど聞こえない。



要するに規制緩和以来タクシー業界がこの十数年繰り広げてきたのは、形が色々あっても運賃切り下げ競争でしかなかったことだ。売り上げの減少は運転手の賃金減少で埋め合わされてきたが、その賃金減少が最低賃金の規制に引っ掛かるようになり、会社の持ち出しが急増して業界全体が「このままでは持たない」という認識で一致し始めたから行政やマスコミも動き始めたのだろう。

2004年に仙台のタクシー業界が台数規制をする「逆特区」の申請をしたことがある。参入自由の原則を規制する特別区の指定を国の規制緩和委員会だったかに求めたことがあった。当局に却下されたのはもちろんだが、この時産経新聞東北総局のある記者はこう書いて業界の行動を批判した。

 規制緩和による競争は、どれだけ一般ユーザーのサービス向上につながるかが最大のポイントだが、仙台ではこうしたサービス競争はまだ、始まったばかりだ。
 市内では規制緩和で通常の半額三百四十円という初乗りタクシーが登場したほか、さらに近隣の自治体でも、病院に診察券を出してくれたり、買い物代行をしてくれるタクシーが人気を集めるなど、サービス多様化は動き出している。逆特区はこうした動きの芽を摘みかねない。
 京都で自由競争の火付け役となったタクシー会社「エムケイ」は、「タクシー業界は業界内のもたれ合いの関係が強く、客不在になりがち。一般的な規制緩和は数年すると業者の淘汰(とうた)が進むことが多いが、タクシーは賃金体系の特質から、運転手にしわ寄せがくる構造。なかなか会社の淘汰まで進まない」(経営企画部)と指摘する。
 その運転手でさえも、「特区になれば、強制的に台数が制限され、結局、クビになるのは私たち」と話す。
 仙台タクシー業界は、真のサービス競争を始めるか、それとも護送船団に戻ろうとするのか。


どこかに「真のサービス」なるものがあり、そのサービスを実現した会社が生き残るのだから、自由競争大いに結構というのだ。あれから六年たったが、「真のサービス」を実現した会社はあるのか?こんにち道新の記者は「確かに…など多様な割引は生まれたが、『新たな需要が生まれた』との声はほとんど聞こえない。」という。前回触れた「有効供給」という無内容で空疎な概念と同様に「真のサービス」なるものも観念的改革主義者の胸を熱くすることはあっても、現実を変革する原理にはなれないのなのだ。
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